談話

関電高浜原発3号機の再稼働に抗議する書記長談話

2016年01月29日

関電高浜原発3号機の再稼働に抗議する書記長談話

 2016年1月29日

 日本教職員組合書記長 岡本 泰良

1月29日、関西電力は、周辺自治体から再稼働反対の声が強まる中、高浜町長と福井県知事の同意だけで、高浜原発3号機の再稼働を強行し、さらに来月末には4号機の再稼働も目論んでいる。東電福島第一原発事故の実態と被害を無視し、住民の命と暮らしを危険に晒す暴挙に断固抗議する。

関電高浜原発3号機では、MOX燃料を使うプルサーマル発電が計画されている。使用済MOX燃料について「第二再処理工場」に移送する計画が示されているが、六ヶ所再処理工場が頓挫し、核燃料サイクル計画が破たんしている中、新たな再処理工場が建設されることはあり得ない。結果として原発敷地内プールに長期間貯蔵するしかないにも係らず、さらに使用済み核燃料を増やし続けることは、子孫に核のゴミを押しつけるだけの愚かな行為である。

国の防災会議が昨年12月に了承した避難計画は、「具体的で合理的」との評価に反し、その実態は杜撰そのものである。国や関電の事故・被ばくの想定は、5km地点の被ばく量を1mSv以下と福島原発事故を無視・過小評価している。広域避難先に指定されている4府県56市町のうち、受け入れ計画を策定したのは、わずか7市である。要介護者の避難も、その人数や容態も把握されておらず、現状では「屋内退避」を余儀なくされ「座して死を待つ」ことになる。さらに3府県合同の住民避難訓練もなく検証もなされていない。

原子力規制委員会は、今年1月、全国の原発13基でケーブル敷設不正があったとして、全国の原発に対して3月までに調査・報告するよう命じた。しかし川内原発1・2号機と高浜原発3・4号機は調査対象から除外している。国際原子力機関(IAEA)は、ケーブル火災による深刻な影響を軽減させるための対策を求めており、日本でも新規制基準に明記され、現場検査も行うことになっている。しかし実際の検査は、高浜原発内一箇所でしか行われておらず、重大な不正への懸念が払しょくされていない。原子力規制委員会は、直ちに再稼働を中止させ徹底した再審査を行うべきである。

昨年12月、福井地裁(林潤裁判長)は、高浜原発3、4号機の運転差止めを求めた仮処分決定を取り消し、高浜原発の再稼働を容認する不当決定を下した。これは、新規制基準と原子力規制委員会による基準適合性判断を「専門的・技術的知見」にもとづくものとして自らの判断を回避し、再稼働への道を開くものである。司法の責務を放棄し、再稼働スケジュールに配慮し、新たな原子力の「安全神話」の構築に加担したことは、断じて許されるものではない。

日本教職員組合は、「核と人類は共存できない」との立場で、高浜原発の即時停止とともに、全ての原発の再稼働中止と再処理からの撤退、核廃棄物の安全な処理の促進、再生可能エネルギー政策への転換を求めていく。また、福島原発事故の教訓に学び、市民の命と暮らしを重視する脱原発社会実現へ向けたとりくみをより一層強化していく。

                                                                                              以上

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