談話

「2022年度政府予算案」閣議決定に対する書記長談話

日本教職員組合書記長 瀧本 司
2021年12月24日

本日、政府は2022年度政府予算案を閣議決定した。一般会計総額は107兆5964億円と21年度当初予算比で0.9%増え、10年連続で過去最大を更新した。一方、文部科学関係予算は、5兆2818億円と年度当初予算比で0.3%の減少となった。教育予算の減少は、「人への投資」が重要としながらも、教育を十分に重視していない岸田政権の姿勢の表れであると言わざるを得ない。
政府予算案における教職員定数の改善については、教職員定数の自然減等や配置の見直しで7,192人が減少するのに対し、教職員定数の改善が4,690人と来年度も実質の教職員定数は大幅な減となっており、人の配置を求める多くの学校現場の声を反映したものではない。また、小学校高学年における教科担任制は、新時代に必要な学びの変革の起爆剤と打ち出しながら2,000人の要求が950人に留まった。教材研究の時間の確保や持ちコマ数の大幅な軽減につながる改善数ではなく、誠に遺憾である。さらに、少数職種の加配等を含め要求した人数が減じられていることは、子どものゆたかな学びの保障や特別なニーズを持つ子どもへの対応などが考慮されず、さらには教職員の働き方改革の推進には程遠いものとなっている。
補習等のための指導員等派遣事業については、教員業務支援員(1,050人増:21年度当初予算比 以降同様)、学習指導員(同額)、中学校における部活動指導員(450人増)となっており、今年度の当初予算よりは増額・維持されているが、少なくとも要求通りとならなかったことは不十分と言わざるを得ない。
文科省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果よると、いじめの認知件数・暴力行為の発生件数は減少したものの不登校・自死が過去最多となった。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについては不登校・虐待・いじめへの対応として昨年度予算よりは増となっているが、様々な課題を抱える子どもの状況をふまえると、さらなる相談体制の整備が必至である。
文科省の「令和3年度 教育委員会における学校の働き方改革のためのとりくみ状況調査」においても、依然として長時間労働の実態は大きく改善されてはいない。さらに、部活動指導員・教員業務支援員などの人的配置の自治体間格差が顕著であり、地方自治体からは国による十分な教育予算の確保が求められている。しかし、閣議決定された来年度予算では、さらなる自治体間格差を生じさせかねない。子どもたちのゆたかな学びを保障し、学校現場で働く教職員の命と健康を守るため、人的配置を含めた教職員定数の改善と大胆な業務削減など、具体的な施策が不可欠である。
日教組は、すべての単位組合とともに国会議員への単組要請活動、文科省・財務省・政党要請、地方3団体等要請等による地方の教育予算拡充を含め、とりくみを強化してきた。引き続き、教職員定数の改善を重点として、学校現場の願いをしっかりとふまえた教育施策への転換と教育諸条件の整備を求めて、国会対策と省庁対応にとりくむ。

以上

pagetop