談話

高等学校学習指導要領の告示に対する書記長談話

日本教職員組合 書記長 清水 秀行
2018年04月02日

 文部科学省は3月30日、高等学校学習指導要領を告示した。新学習指導要領は、2019年度から移行期間となり、2022年度から学年進行で実施される。

 新学習指導要領では、各教科・科目等の目標で「資質・能力」の育成をめざし、「何ができるようになるか」を明確化した。このことは、生徒を目標達成にむけて追い立てることになりかねない。あわせて、2019年度から試行実施される「高校生のための学びの基礎診断」や、2020年度からの「大学入学共通テスト」によって、教科としての外国語が「読む・聞く・話す・書く」の4技能の育成中心となることを危惧する。後期中等教育を、技能の習得やPDCAサイクルの確立のみを目的としたものにしてはならない。

 教科・科目編成の大幅な見直しは、教科「理数」の新設をはじめ、「各学科に共通する科目」55科目中の27科目が新設され、「総合的な学習の時間」も「総合的な探究の時間」となる。特に、国語、地理歴史、外国語、情報の各教科は、必履修科目を含むすべての科目が新科目となり、教育内容・事項が詳細に規定された。2019年度からの移行期間があるとしても、生徒・教職員や学校運営に多大な負担を強いることは必至である。「主体的・対話的で深い学び」をすすめるには、教育内容の精選と現場実態をふまえた柔軟なカリキュラム編成、そして教職員定数増等の十分な条件整備が必要である。

 地理歴史科、公民科の教科・科目の目標には、「日本国民としての自覚」、「我が国の国土や歴史に対する愛情」などが規定された。また、道徳教育については、新たに「道徳教育推進教師」を配置することや「公共」、「倫理」、特別活動を「人間としての在り方生き方に関する中核的な指導の場面」とし、「我が国の郷土を愛する」ことなどが規定された。学校現場においては、今後、客観的かつ実証的、論理的な教育実践が求められる。

 日教組は引き続き、子ども・地域の実態に即したカリキュラムづくりが可能となる教育施策・条件整備を求めるとともに、教育現場でのさらなる弾力的運用等が可能となるようとりくみをすすめていく。また、保護者・地域住民とともに生徒のゆたかな学びを保障していくために、子ども・地域の実態に応じた創意工夫ある教育実践にとりくんでいく。

以上

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